無酸素運動への低酸素トレーニングの効果

ここのところ、SSOLで低酸素トレーニングを継続している、格闘技選手の活躍が続きました。

お二人とも、低酸素トレーニングを行ってから相手より息があがらず、リカバリーも早くなった点に効果を感じているそうです。

低酸素トレーニングは高地トレーニングも含めてマラソンなどの有酸素運動への効果は昔から認められてきました。昨今は格闘技のような無酸素系のエネルギーを多く使う競技への効果も多く報告されるようになっています。無酸素系エネルギーとは、ざっくり言えば、短時間しか継続することができないが、大きな力の発揮や速い運動を行うエネルギーです。

2011年に発表された論文では(鹿屋体育大学大学院/平山氏ら)200m漕と500m漕のカヌー選手を対象に低酸素環境下と通常の環境下の両方で高強度のインターバルトレーニング(エルゴ漕マシン)を行った結果が報告されています。

その結果、全員タイムは伸びましたが、低酸素でトレーニングしたグループの方がタイムの伸びが大きく、特に200m漕のタイムとパワーの伸びが顕著でした。

200m漕の競技は継続時間は約20秒。その7割が無酸素系エネルギーとされており、この結果は、低酸素環境下での高強度インターバルトレーニングが無酸素運動に大きく貢献したと考えられます。

ここでのポイントは、トレーニングが「高強度」である事。論文では選手は「2分(レスト2分)5セット」と「20秒(レスト10秒)10セット」を1日置きに交互に計10回行いました。いずれも最後まで指定された強度で運動が続けられないほどの高負荷のトレーニング。なおかつ指定負荷を維持できなくなっても最大努力で続けるというかなりハードな内容です。このトレーニングの大きな目的の一つは、無酸素エネルギーを最大限動員させる事です。

低酸素環境下では体内負荷が高まるため、通常環境で行うより高い負荷をかけられたことによる、無酸素運動能力の向上が考えられるとされています。

他にも、短距離の陸上、水泳、短時間の全力ペダリング、柔道の短時間の打ち込みなどの実験でも同じような結果が報告されています。

課題としては、かなり負荷の高いトレーニングになるため、他のトレーニングと合わせた計画の上で実施する必要がある点と体調管理に十分な配慮が必要になる点をあげています。

●低酸素トレーニングは有酸素運動、無酸素運動両方に効果がある。
●無酸素運動には高強度のインターバルが有効。
●負荷の高いトレーニングなので実施にあたっては計画と体調管理が必要。

SSOLでもお客様の競技に合わせたメニューを、個々のレベルに合わせてご提供します。

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