模擬高地(低酸素室)で高地合宿と同じような効果を出すには?

先週、長野県湯ノ丸高原にて、「高地・低酸素トレーニングの国際シンポジウム」に参加してきました。

国内外から高所・低酸素トレーニングの指導・研究をしている方々を招いて最新のトレーニング方法や研究結果などの講演とオリンピックメダリスト、コーチなど実際に高地トレーニングを行ってきた選手及びコーチの体験談などが2日間にわたって行われました。

今回はシンポジウムは主に標高の高いところでの合宿トレーニングに関するものが多かったのですが、「低酸素」という点では、高地もSSOLにある低酸素テントも同様です。シンポジウム全体を通して、今SSOLで行っている模擬高地(低酸素テント)と実際の高地トレーニングの違いについて考えてみたいと思います。

高地トレーニングの大きな目的の一つはやはり持久力のアップです。酸素の薄い場所で生活をしたりトレーニングをすることで、身体を長く動かしつづけるために必要不可欠な、体内に酸素を取り入れ、効率よく使う力がつきます。

酸素を取り入れる力、効率よく使う力とは、何か1つだけが変わるのでなく、低酸素という環境におかれることで、体内の細胞レベルで実に様々な変化が起きる事による結果です。

その「様々な変化」は どのくらいの低酸素にいるのか、どのくらいの時間いるのか、低酸素の中で何をするのか によってまた変わってきます。トップ選手の高地合宿は通常数週間単位で行われます。100時間以上の長時間、標高の高い(酸素の薄い)場所での滞在によってのみ起こる体内の変化が持久力の向上につながるからです。

普段は平地に住んでいて、トレーニングのみ低酸素室の中で行う場合は、このような長時間の低酸素暴露による効果はほとんど期待できません。
しかしながら、短時間でも低酸素の中にいて、なおかつ適切な負荷の運動をすることで、心拍、血中の乳酸濃度が減少し、運動量や運動継続時間が増加するという効果は十分に得られることがわかっています。

高地滞在は良い事だけではなく、身体がその環境に順応するまでに時間がかかり、なおかつ低酸素環境下では、トレーニングの質や量は平地のそれと同等のものはなかなか維持できません。回復も遅くなり、体調管理にも非常に気を使わないといけません。高地トレーニングで調子を落とす選手も少なくないのです。

しかし低酸素室では、強度の高い運動をしても平地でリカバリーができるので回復が速く、続けて強い負荷をかけることもできます。また移動や長時間の自宅以外の滞在といったストレスもありません。

高地滞在のトレーニングと、トレーニングのみ短時間、低酸素室で行う場合とでは違いはあるものの、低酸素室ならではのメリットを生かしたトレーニングをすることでスポーツパフォーマンスを向上させることが十分可能です。
そして向上には、「適切な負荷」がキーポイントになってきます。

それではどんなトレーニングを具体的にしてくのがいいのか?
はまた後日書いてみたいと思います。

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